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香川県の「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」、「合憲」との判決が確定

香川県の「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」について「憲法違反」だとして、香川県高松市出身の元高校生らが県に損害賠償を求めた裁判について、2022年10月31日(月)の控訴期限までに原告側が控訴せず、条例は「合憲」だとした高松地裁の判決が確定した。

[参考]
【速報】香川ゲーム条例違憲訴訟 原告側が控訴せず「合憲」判決が確定(KSB、2022年11月1日の記事)

2020年3月18日(水)に可決・成立し、2020年4月1日(水)より施行された「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」。

[参考]
香川県で「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例議案」可決 施行は2020年4月1日から プレイ時間上限・時間帯制限等を守るよう努めなければならないことに(ネトゲブックマーク、2020年3月18日の記事)


この裁判は、2020年9月に、高松市の当時の高校3年生と母親が「ゲームの利用時間の目安などを定めた条例は憲法違反」だとして県にあわせて160万円の損害賠償を求めたもの。
2022年8月30日(火)に、高松地裁は「条例は努力目標であり、原告側に権利の制約を課すものではない」などとして「憲法違反とは言えない」と判断し、原告側の訴えを退けた。

[参考]
高松地裁判例 令和2(ワ)339 損害賠償請求(高松地裁)


高松地裁によると、判決から1か月半以上にわたり原告の元高校生に判決文を届けられない状況が続いていた為、高松地裁は民事訴訟法の規定に基づき、裁判所が書留郵便を発送した時点で当事者に送り届けたものとみなす「付郵便送達」の手続きを2022年10月17日(月)に取った。

そして、その14日後の2022年10月31日(月)までに原告側から控訴状の提出がなかった為、地裁判決が確定した。


あくまで今回の判決は、「条例は努力目標であり、原告側に権利の制約を課すものではない」とある通り、「努力目標」であることが、判決の理由の一つとしてあると思われる。
(義務や、違反時の罰則があるものではない)



「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」の今後について

この「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」は、「付則」として「施行後2年を目途として、施行状況等を勘案し、検討が加えられる」という、いわゆる「見直し条項」があるが、2年以上が経過した2022年5月27日時点までには、この見直しは行われていない。

子ども達に努力目標を課したのであれば、議会自らが決めた付則はぜひ守って頂きたい。

[参考]
【特集】香川県 ゲーム条例施行から2年…付則で定めた「見直し検討」の行方は?(KSB、2022年5月27日の記事)




他自治体について

今回、判決が確定したことで、今まで訴訟の行方を見るために凍結されていた、全国各地の地方自治体による同様の規制に向けた動きが再開される、または新たに動き出す懸念がある。


例えば、秋田県大館市では、香川県をきっかけに「ネット・ゲーム規制条例案」の議論を行っていた。
[参考]
ネット・ゲーム規制条例案、秋田県大館市教委も提案へ 香川県きっかけに(ITmedia NEWS、2022年2月27日の記事)


ただ、この違憲訴訟を受けて、秋田県大館市では「ネット・ゲーム規制条例」に関して2020年から一時策定凍結していた。

[参考]
大館市のネット・ゲーム規制条例、一時策定凍結へ(井出草平の研究ノート、2022年2月27日の記事)

このような動きが、今後再開される、または新たに出てくる懸念がある。

ゲームプレイ時間の一律規制をよしとしない方は、ぜひご自身がお住まいの都道府県・市区町村でこのような動きが無いか、注視して頂きたい。




最後に、本件について、当条例が制定された時に記述した文章を再掲させて頂きたい。

ゲームのプレイしすぎで健康を損なうようなことは避けるべきだが、どのようにプレイをするかは各個人・各家庭で決めることであるはずだ。

勉強と両立し、場合によっては勉強のストレス発散の一つとしてゲームと上手に付き合っている子ども一定数いると考えられる。

また、ゲームが引きこもりなどの原因とする方もいらっしゃるが、原因は別(いじめ、家庭環境、勉強についていけなくなったなど)にあり、その別原因により引きこもり状態になってしまい、部屋にいる状態でできることの一つがゲームである場合は、根本原因を解決しない限り、ゲームのプレイ時間を制限しても効果はないどころか、心の支え・新たな興味との出会いの機会の消失など、負の側面が増す可能性もある。

ゲームをきっかけに、新しいものに興味を示す、などということもよくあることだ。
「楽しい」ということの中には、その人(子ども)が興味がある分野・得意になる分野の種が眠っている可能性もあり、それが芽吹くことで、学びに繋がるという好循環を体験した方も多いだろう。(物事に興味を抱かせるきっかけとして、ゲームを含む娯楽はとても優れていると思われる)

以上お読みいただき、本件に対して思うところがある方は、まずはしっかりと情報を収集し、各地で自分ができる範囲で行動をして頂きたい。


そして何より、今回の件で疑問を感じている香川県在住で投票できる方、他の自治体にお住みの方で自分の自治体にこの影響が広がって欲しくないと考えている方、次回も選挙には行きましょう。

[原文は、以下ページの下部に記載有]
香川県で「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例議案」可決 施行は2020年4月1日から プレイ時間上限・時間帯制限等を守るよう努めなければならないことに(ネトゲブックマーク、2020年3月18日の記事)